その瞳をわたしに向けて
思わず身をのりだして聞いた

「お前、それちゃんと食えよ。さっきから全然箸動いてねぇぞ。」

「あ………」

話の中、まだ半分も食事に手をつけてない事を指摘される

まるで今日のミスだらけを見透かされたように言われ、口を綴じた

「美月ちゃん、ほらっゆっくり食べて。別に急いで食べなくてもいいから」

そんな美月に、美鈴ママが頬を上げてほうじ茶をくれた


「その人のお見合い、どうするの?」

美鈴ママがさりげなく松田に聞いた

「相談にはのったから、手の空いてる同僚を紹介しといた。そいつなら今忙しくないし、うまくやるだろうから」

「剛平君が頼まれたんじゃないの?」

「要は見合いが無くなればいいんですよ。だったらもっと適任な、やつがいたから」


「今日の山田さんの食事はその人と?」

モソモソと食べながら視線を上げて遠慮がちに聞いてみた美月

「ああ、一緒に連れてって置いてきた。そいつもいいって言ってたし、山田も知らない奴じゃないし、堀内って奴」

堀内………誰だっけ?

「…………なに?」

思わずボウ然と松田を見つめた

だって………山田さんにしてみればそれは松田さんじゃなきゃ意味がないんじゃないかなぁ

帰りに通りかかったロビーで待ち焦がれていた山田の顔が浮かぶ


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