その瞳をわたしに向けて



「あの…………」


信号が赤になって車が止まったとこで何となく話し掛けた。


「やっぱり、山田さんの相談は松田さんが聞いてあげた方がいいと思うんです。」


「山田?」


「だって、山田さんは………」

松田さんが好きで、たぶんいろいろ考えたと思うし、嬉しそうだったし、なのに他の人に丸投げされたら………



「なんか、矛盾してないか?」

「えっ………?」

大きな溜め息と共に青信号で車が発進した


「実際、山田からは何度も食事に誘われてはいるが、興味はないから俺は行く気はない。だからって告白されてねぇから振るわけでもない訳。」


「……………あ」


「相談だって、協力してほしいと言われただけだ。でも何となく分かるだろ向こうの考えてる事ぐらい。だから、堀内に代わったんだ。」

「でも…………」

ロビーで待ち焦がれていた山田さんの顔が浮かぶ


「無駄に期待持たせたって仕方ないだろ、だいたいお前だって一条との反省会断ってただろ」

「…………」

「一緒だろ、行きたくない食事にはいかない。どう思われたってな」


じゃあ、合コンは?他の女の子だったらいいわけ?

合コンなんか行ってるから、お持ち帰りなんかしてるから……………
何とかしようと思われたんじゃん


言葉に出来なくて俯いたまま黙った


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