その瞳をわたしに向けて
片手に持ったビールに視線を向けながら、頬杖をつく俺をカウンター越しに美鈴ママが見下げてきた
「なぁに………?帰りの車の中で喧嘩でもしたの?」
「……………いえ、良く分かんないんですよね、急に怒りだしたり…………そうかと思えば取り繕ったように笑ったり、何考えてるのか…………」
はぁっ、とそのまま溜め息をつく
「そんなの当たり前じゃない。夫婦でも親子や兄弟だって、何でも分かる訳じゃないから喧嘩するんでしょ。恋人だってね」
……………確かに
「そんなだったら、ちゃんと付き合ったらいいじゃない?」
俺の顔を覗き込む美鈴ママが、意味ありげに含み笑いをする
「あ……………まあ、何て言うか、俺一度清宮に振られてるんですよ。」
「へっ、そうなの…………?」
予想外だったのか、少し驚いた美鈴ママから視線を外し頭を掻いた