その瞳をわたしに向けて
そのまま堀内と、二人で静かに棚から顔を出し、奥を見ると男女の姿が見えた。


確かに1人は背が高くふわりとした黒髪は松田だ。

そうしてもう1人は、会社の制服を着た女子社員



なにあれ、松田さんに抱きついてる…………?


「遊びでもいいんですってば…………」

抱きついたまま、くぐもった声で言う女子社員

「…………あのなぁ、自分で言いふらすか普通、逆にイメージ悪くなるだろ『お持ち帰りされた』なんて」


呆れた声をだす松田。肩を掴んでその女子社員を自分から離し、目線が届く所まで身体を屈めた


後ろから見るとまるでキスでもする体勢にみえる…………

「いいの、今度はホテルじゃなくて私の部屋にするから」


悩ましい顔で正面の松田を見つめる女子社員。


やだな……………見てなんていられない

思わず目を叛け下を向くと

「ちょっと前の合コンでいつの間にか二人で消えてたんだよね、お持ち帰りしてたとは、やるよなぁ松田も」

小声で美月の耳元にそう言ってきた堀内


「何て言ったっけあの子、石原真由美ちゃん、総合受付の子だっけ」


…………前にトイレで聞いた『お持ち帰りされた』人だ、きっと


「バカだろ、お前…………」


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