その瞳をわたしに向けて
「今、美月の隣で話してるのは『PRINCE ORIENT HOTEL』の会長の孫、歳は確か30歳くらいだったかしら、
でその横が『鷲見総合的病院』の院長の次男ね、それから………」


「あいつが誰と見合いしていようと俺には関係ない。」

少し不機嫌にそう言うと松田を見直して瑠璃子が首を振った

「美月のパパだって美月を早く結婚させたい訳じゃないのよ別に、ただ………あの子ガードが弱いでしょ性格的に」


「……………」


「四六時中見張ってる訳にもいかないのに…………」


「見張ってるのか?」

眉をひそめる松田に、瑠璃子がクックッと笑った


「そこまではさすがにしないと思いますけど、それくらい心配してるってことです。大学の時には色々あったから…………」

聞いたことあるでしょっと顔を覗かれた

断片的にしか聞いてないが、確かに親なら心配だよな………


「美月その後、少し人嫌いになったから私とルームシェアしてたんだけど、まさか会社に入って一人暮らしを許してもらうなんて思わなかったわ…………
でも、会社社長の甥っ子さんとの縁談が仕組まれてたなら、そこはなるほど、と思ったわ。」

会社ではずっと杉村常務が清宮を甘やかしていたことは確かだ、酒が弱いことも知っていたようだし

「美月のパパも、美月の相手には絶対条件があるんです。」


…………条件?


「ただ資産家ってだけじゃなくって、美月が好きになった人って条件。」


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