その瞳をわたしに向けて
「大丈夫、誰にも言ったりしないから」

そう言ってニッコリ笑顔を見せるが…………信用できない




向こうのVIP 席では、ただ一人を囲んで大きな輪ができていた


「…………それより、なんであいつが来てるのよ」


「あいつ?」

瑠璃子の言ったことに首を傾げる堀内


「大方、パパの代わりにって話でもしたら、うむも言わずに来たんでしょ。」


「誰?」

美月と顔を見合せ瑠璃子が溜め息をつく


「清宮保、清宮コンツェル代表取締り役社長 清宮亜門の長男で外食部の営業部長として在席の次期社長候補、現在27歳 美月の兄よ」


「で、瑠璃ちゃんの婚約者」


「へっ?!」


「形だけよ、かたちだけ。お互いの利害の一致のため、いつか解消前提よ」

剥れた顔をする瑠璃子に、堀内はいつもの目尻と同化しくしゃりとした笑顔を見せた


「そっかぁ、じゃあ別にお互い恋愛自由な訳だ。ねぇ、それって俺って可能性あり?」


…………なに、この人瑠璃ちゃん落とす気なの?

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