その瞳をわたしに向けて


企画戦略として、本来出店の新メニュー商品は都内から試していくのを、逆に大阪で第一新商品メニューを出して検証された企画で、ある意味社内での売り上げ合戦の先攻を視察しに行く役回りらしい


「松田さんは、営業部の担当が先週盲腸になっての急遽代役で大阪に行くって聞きましたけど…………」


「へぇ、よりによってこの時期に大阪ねぇ…………」

堀内が何となく考え込む仕草をし、美月をジッと見直した


「さすが、もう松田のスケジュールも頭に入ってるんだ。」


「……………っ」


「仕方ない、来週末くらいまでお預けだね」

残念だねって、私がそう思ってるみたいに言わないでよっ?!

「あのですねぇ…………」





「清宮さん、話してるとこ悪いけど、コーヒー第2会議室に持ってきてくれるかな」


給湯室の入り口を塞ぐようにいた堀内の肩を引いて、一条がアイスコーヒーをお盆にのせて用意している美月に近づき、何気に堀内を見る


「何なら僕が自分で持ってくけど」

そう言ってお盆ごと持とうとする一条に「大丈夫です」と、断りを入れた


一条の登場に、堀内は「じゃましちゃったね。またね」と、変わることのないクシャリとした笑顔のまま給湯室の入り口から離れ自分の部署へ帰っていった。



「あの人、海外事業部の堀内さんだよねぇ。清宮さん知り合い? こっちに何の用だったの?」


一条がコーヒーを運ぶ美月について歩く
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