その瞳をわたしに向けて
「だろっ、堀内ってさぁ………」と立花に同意を求めつつ、堀内に関する昔の話で盛り上がる二人の会話
耳につくのは彼の楽しそうな声。
目につくのは彼の立花に向ける視線。
立花に対して、前ほど強くいとおしさを含んだ扱いはしなくなったはずなのに、信頼性を持つ同期としての二人の関係にすら羨ましいと思ってしまう自分が浅ましく思えてくる
「松田君、明日から大阪よねぇ。泊まりってことは、あっちの打ち上げにまで参加するのね、珍しい。」
「金曜土曜だからな。あいつがどうしても顔出せって言ってきた。」
「あいつ?」
「理沙」
「ああっ、この前会えなかったものね。寂しがってたわ。ふふっ」
……………また、知らない人の名前が出てきた
理沙って誰?
私は、もう部署に戻りますと自分のコーヒーカップを持って席を立った