その瞳をわたしに向けて
「春香っ」
今回、立花は松田の持っていた案件を引き継ぎプロジェクトから外れている。
そのため、美月も関わる事なく松田との仕事上の接触はほぼ無くなった。
「理沙、一週間忙しそうね。」
立花の席に近寄る理沙を、美月も横から盗み見るように顔を上げる。
「大阪支店に行って3年しか経ってないのに浦島太郎よ、まあ同期は相変わらずだけど…………」
そう話ながら、チラリと美月を見下ろした。
「よろしくね、清宮さん。」
「えっ、あっはいっ宜しくお願いします。」
いきなり振られ挨拶をかわす
あれ…………自己紹介したっけ?
艶のあるストレートでブラウンの髪をサイドにシュシュで一つにまとめて
ナチュラルメイクがクールビューティーさを際立たせる
いかにも出来るオフィンスレディって感じ
ニッコリ笑うと、大人の女性的な雰囲気
決して派手でないのに、やっぱり立花より華やかさがあった。
「これから挨拶回りよ。さすがこっちのが暑いわね。今日は無理だけど、ランチ行こうね。清宮さんも一緒に」
そう言って、彼女は身体を翻し部署の入り口を見据えた。
「剛平っ」
松田に向かって手をあげ、彼の横へ………
クールビューティーが一瞬甘え女子に見えた。