その瞳をわたしに向けて


「あれっ、今日は清宮さん一人で食事?」


へっ………と顔を上げると、一条が美月のお昼を広げたミーティングルームのパーティションから覗き込んできた。


「はいっ、立花さんは出掛けちゃってて、田中さんは銀行に行きました。」

そうなんだ、とさりげなく美月の椅子の側についた。

「もう、お昼は終わったの?」


昼休憩はまだ20分ほどある。一人での食事はさっさと終わってしまうから………

「はい」

少し考え込んだ後、頭を掻きながら「資料を探しに行ってほしい」と頼まれた。

申し訳なさそうに「一件電話を入れたら後から行くから」と、倉庫の場所と資料名を書いて渡してきた一条。


「…………随分古い資料なんですね」

見れば、『1999年〇△商事の値つけに関する……………』と、もう何年も前の年号が書かれていた。

「ああ、ごめん。倉庫の奥に行って探しててくれるかな、奥ね。」

そう言って、ポンッと肩を軽く叩いて足早にミーティングルームを出て行った。



5階の第6倉庫…………?


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