その瞳をわたしに向けて


倉庫の前で中の二人が出てくるまで待たないと資料が探せない。

資料名の書いた紙をもって扉の近くで壁に凭れて待つことにした。

探す時間あるかなぁ…………



「何やってるんだ、こんな所で」


俯いて溜め息をついている美月の前に、松田と佐伯理沙が二人揃って通り掛かった。

倉庫の前に居る美月に、怪訝そうに眉をひそめる松田

「ここに何か用なのか?」


「…………資料を探しに、でも中でちょっと」


思わず顔がボゥッと赤くなる。あれからさらに進んでいれば今頃この中では……………


「資料?中でなんだ?」

そんなこと、どう説明するの?この状況……

俯いて言葉を飲み込む美月に松田が顔を覗き込む


「お前、熱でもあるのか?顔、赤いぞ」
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