その瞳をわたしに向けて

そう言われてはっと両手で頬を覆う

「一条さんに、ここにあるこの資料を頼まれて探しに来たんです。けど、中に人がいてその…………入れないんですっ」



「…………ここに、一条がお前を?」



美月の持っている資料名の書いた紙を奪い取ると、松田があらかさまに顔を歪める


「お前は呼び出されて、ホイホイ入っていったのか…………?」

「はい?」

呼び出されたんじゃなくて、頼まれたんだけど…………


「剛平、ちょとっ待ってちゃんと………」

隣で理沙が松田の腕を軽く引っ張った


意味が分からず頭を傾けてキョトンとしていると、倉庫の扉が開いて外を伺うように男女二人が出てきた

バツが悪そうにそそくさと3人の前を通り過ぎる二人
その時、女性がさりげなくスカートの裾を直しているのが目に入り思わず顔をそむける
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