その瞳をわたしに向けて
「では、失礼します」

ニッコリ笑顔を見せ会釈をすると社長も和やかに手を振る


会議室から出ると残った業務を終えるために席に戻る


結局残業か………

さっさと終わらせないと、また松田さんに何か言われる………


一時間たった頃、川村社長との打ち合わせが終わり、会議室の片付けを頼まれた。

何とか業務は終わらせて早く片付けをして帰ろうと急ぐ。


なのに……


「清宮……」

やっぱりぶっきら棒な低い声が後方から降ってきた

湯呑みを片付けながら顔を上げる

「何ですか?」

「…………いや、お前は川村社長にいつもあんな風に誘われたりするのか?」


はぁっ?

「別に、誘われる事もありますけど行きませんよ。会社関係の相手ですから、何か粗相があっても困りますし……」

「………」

「それに、向こうだってただの社交辞令みたいなものです」

「そうか……ならいい。気をつけて帰れよ」

そう言って松田は静かに給湯室から出ていった。

………なにあれ?




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