その瞳をわたしに向けて

「私が剛平と付き合ったきっかけは、春香が杉村常務と付き合いだしたからだったんだぁ」


「……………」


「だから、誰でも良かったのよあの頃は。剛平を慰められる人だったらね」


…………それって一緒だ。前に松田さんから「付き合う？」って言われた状況と


「剛平こっち向いてくれないんだもん。私も若かったからさぁ…………
不安で不安で、携帯チェックしたり、部屋に押しかけたりしてね、挙げ句に仕事で春香に当たったりして………………剛平呆れてたなぁ」


「……………」


理沙が頬杖をつきながらははっ苦笑いをした

「最終的には大阪へ逃げちゃった、振られる前に。」

え…………

「私、結構仕事出来る子だったから、あっさり希望が通っちゃって大阪支店の企画部副主任に大抜擢」