その瞳をわたしに向けて
理沙が美月の顔を見てふふふっと笑う
そんな理沙を見て、美月が両手で持つグラスに目を移した
「でも………だから今、よりを戻すんですか? 噂通り松田さんの大阪出張で、やっぱり火がついちゃったんですか?」
「……………清宮さん」
俯く美月に理沙が手を伸ばして頭を撫でる
「私、28よ。剛平と別れた後もちゃんと恋愛したのよ、失恋には新しい男が一番よね」
「……………でも、じゃあ」
だって大阪の夜、あの日一緒にいたじゃん
「剛平は友達よ、それ以上はないわ。安心して清宮さん」
理沙の言葉に思いっきり首を振った
「嘘っ、だって松田さんの携帯から佐伯さんとベッドにいて…………だから…………」
「ほらぁ、そうやって不安ばっかり抱えてる。私の3年前と一緒だ。周りがみんな剛平のこと狙ってて、いつかどっか行っちゃう気がして、自分は実はその他大勢の一人なんじゃないかって思っちゃう。」
「……………」
「そんなんじゃダメよ。今の私だったら剛平のこと理解してあげられるんだけどね」