その瞳をわたしに向けて
目の前にある両手で握り締めていたドリンクを一気に流し込み、赤い顔して眉を歪ませる美月

「だって、佐伯さんは大人で仕事もできて、松田さんとも釣り合いが取れるじゃないですかぁ。立花さんの事が好きだったんですよ、私なんて正反対だしぃ………」

「えっ、清宮さん?!」

美月の据わった目と、声の大きさに驚く理沙

「どうやって自信なんて持てるんですかぁ?」


「あっ、ウソっ泣かないで! ちょっと言い過ぎたから、剛平からは清宮さんの事聞いてたよ。気になる子がいるって……………」

理沙が慌てて美月を宥める

「ってあれっ、ねぇもしかして寝ちゃったの…?」


ぽろぽろと涙を流し始めた途端、机に突伏してしまった美月

それから動かない

見れば彼女が握るそのドリンクは、何度目かに頼んだ理沙のウイスキーの水割りだった


< 253 / 432 >

この作品をシェア

pagetop