その瞳をわたしに向けて

「剛平が言ってたみたいに清宮さんってちょっと無防備よね。今日、一条君にまた口説かれてたわよ」

「…………」


「知ってる?一条君の実家ってかなりの名家よ。
代々の酒蔵だけじゃなくチェーン店で居酒屋経営もしてて、次男だけどここにいるのは武者修行だって噂よ。
実はこの子の次のお婿さん候補だったりして」


食べかけた鳥串の先を美月の方へ向けながら言う理沙に松田は小さく溜め息をついた

「だったら何だよ、そんな事こいつが決めることだ…………」


「そう? 私にはかなり独占欲丸出しに見えるけど、俺のものに手を出すな的な……」


グラス片手に頬杖をついて松田を見上げてきた。



「…………ねぇ、聞いていい?」

視線を逸らさし俯いたまま理沙は口を開いた
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