その瞳をわたしに向けて
電話を切って再度一条を睨み返し、すぐに日差しの強い非常階段から社内に入り一条の前を通り過ぎた
「探してたんですよ、報告書のチェックしてもらおうと思ったらすぐに出てってしまうから…………」
「……………」
松田の後ろをついて歩く一条
「彼女さんですか?」
「……ああっ」
顔を向けずにぶっきらぼうに返事だけ返した
「えっ……マジですか?!」
驚くとこか?大体分かるだろ
「…………あの、それって佐伯さんじゃないですよねぇ……」
「佐伯?」
隣で歩く一条に視線を向ける
「あっ……いやね、結構噂になってたじゃないですか佐伯さんと、復活したとか」
「…………ああ」
噂か………それであいつ勘違いしてたんだな
「佐伯の相手は俺じゃない、あいつは大阪にちゃんと男がいる。それも社内のやつだが」
「そうなんですかぁ?!…………はぁっ………」
「どうした?」
おもむろに深い溜め息をついた一条