その瞳をわたしに向けて
「いや……みんな春じゃないですか。
佐伯さんも立花さんや杉村常務に松田さんまで…………」
「………………」
「これは俺も頑張らないとって」
そう言って一条は片手で小さくガッツポーズを作る
「頑張る?」
ハイッと頬を上げて顔を向けた
「清宮さんです、清宮美月」
「!!!」
そうだった、こいつは美月を狙ってたんだった………
「昨日は佐伯さんに取られちゃったんですけど、もう少しで食事の誘いにOK貰えそうだったんですよ」
ほくほくと次はどう誘おうかと浮かれながら話す一条と、一緒に部署に戻る松田の足が内階段の踊り場で止まった
「一条」
踊り場から階段に差し掛かる一条を呼び止め腕を掴んで引っ張り、壁に押し込んだ
「…………えっ?」
掴んだ右手を一条の顔の横にダンッとついて身動き取れなくさせる松田