その瞳をわたしに向けて
無駄なぜい肉なしの身長190㎝、スーツ、イケメン、仕事のできる眼鏡男子からの壁ドン
一方、身長175㎝、こちらも仕事のできる後輩スーツ、イケメン男子、ふわふわ茶髪、ちょっとわがまま系な酒蔵家お坊っちゃんが壁ドンされている
世の中の腐女子達がBLで、夢見る壁ドンのシチュエーション………
「まっ松田さん………?」
「一条………悪い」
「…………?」
意味が分からず、頭を傾ける一条
「お前には悪いが、美月はダメだ……」
「へっ……?」
一瞬、何か聞き間違いがあったような気がして眉をひそめた一条
「あっ……の……?」
小さい溜め息をついて目を細める松田は、視線を落とし自分の胸ポケットにある携帯電話を指差した
「へっ……もしかしてさっきの電話……?」
「……ああっ、美月は俺のだ、もう手をだすな。なんならさっきの着信見せようか?」
目の前で覆い被さる松田を見上げてますます顔が歪む
「はぁっ?!ちょっと待ってくださいっ……『自由にくつろいでいろ』とか
『なるべく早く帰るから待ってて』とか、今清宮さんが家に居るって事ですか?!」
「………お前、どっから聞いてたんだよ」
「………朝の、電話した時の声も………?」
松田はゆっくり頭をさげた
「まぁ………そうなるな」
「!!!」
二人、壁ドン状態のまま暫く言葉が出てこない。