その瞳をわたしに向けて
幸せの条件



「1 、2 、3……5…あっ、ない……もぅなんでいつも揃ってないの?!」


第二営業部内にある資料室


使ったファイル3冊置きに来たまま、いつの間にか揃ってない周辺の棚の片付けを始めた美月

「せめて会社別か年代別に分けて返そうとか思わないのかなぁ………ったく」

ぶつくさと不満を漏らしながら揃わない4番のファイルを探す

棚の上に目をやると立て掛けてなく、山積みされてあるいくつかの束のなかにそれを見つけた

つま先立ちに精一杯手を伸ばして取ろうとすれば、今にも他のファイルまで落ちてきそうだったけど


「………もう……すっ……こし………あっ」


「これ?」

もうちょっとでファイルに届きそうだったのに、そこにあった重なったファイルを後ろから別の手が、軽々と持ち上げて奪っていった

振り向けば、遥か上に顔のある影、いつもの煙草香りのするスーツ

「………松田さん、ありがと」


「って言うか、脚立あるだろ」


お目当ての4のファイルを持ったまま近くにある脚立の方へ視線を向ける

「届きそうだったから……」

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