その瞳をわたしに向けて

「今日、遅くなるけど少しだけ部屋に寄っていい?」


「………うん」




「いつまでイチャつい
てるんですか?いい加減主任が呼んでますよ」

資料室の棚の影から出てきた一条のその声に松田は舌打ちをかます

美月の頭に手をのせたままの松田を見て一条は溜め息をつく

「隠すつもりあるんですか本当に、分かりやすいですよ特に松田さん………ただでさえ彼女が出来たらしいって噂飛んでるんですから」


「…………」


何処でどう言われてるのか、噂だけは相変わらず有ること無いこと言われる松田



でも、付き合っている事は内緒にする事にした


別に会社が社内恋愛禁止って訳じゃない、まして杉村常務と立花さんのことから推進されてるくらいだ


問題は松田の立場





付き合ってすぐ瑠璃子とご飯を食べにいった美月

「おめでとう………まあ、成るように成ったって感じね」

っと美鈴ママと同じ事を言われた
ニュアンスは正反対だったけど………

「問題は美月のパパと、兄貴よね」

清宮の父も兄も筋金入りの美月贔屓だ



「問題………?」


< 289 / 432 >

この作品をシェア

pagetop