その瞳をわたしに向けて
「一応娘の縁談を黙って進めてたのよ周りの人間率いれて、それも初めはパパの思い通りになったでしょ縁談の方向性、もし立花さんが退いてたら案外結婚までしてたかもね」


「そんなのパパが勝手にお酒飲みながら相手に任せてした縁談じゃない…………結婚って」


「まして立花さんの事さえ承知してた上で、杉村常務の人となりを見てたかもしれないし、きっと実はちゃんと調べて美月と結婚させたかったかもよ杉村常務っていう人に」


「…………そんな無理強い私が従うわけないじゃん」



瑠璃子は、目を細めて神妙な顔をして美月に諭す


「パパの博打は打ち損なったけど、今度はそんな縁談ありきの妹が、知らない間に別の男に落とされてたなんて、調べない訳ないよねきっと……あのシスコン兄貴
取り合えず様子みて判断されるわよ、松田さんって人が『可か、不可か』って」


「………どういう意味?」



「早く言えば、玉の輿狙いかどうかってことよ」


「そんなことっ!」

不機嫌な表情をする美月に呆れた様な溜め息をつく


「そんなことよ、自覚しなさい。まぁ、暫くは内緒で付き合う事ね。遊びの範囲だったらまだ見逃してくれるんじゃない?大学時代の初カレの時みたいに」

食事途中のテーブルを思わずバンッと叩いた

「出世や玉の輿目当てなんかじゃないもんっ!遊びでもないし」


「そんなこと本人しか解らないでしょ、世間の見方は思い通りにならないもんよ、パパさんやあのシスコン兄貴が認めてないものを認めさせるのは、大変だと言っただけ」



あたしは美月の味方だって言ってるじゃない、いつも……



瑠璃子は最後にそう言って笑顔を見せた



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