その瞳をわたしに向けて
美月の兄 清宮保があの美月の瑠璃子とか言う親友の婚約者で、極度のシスターコンプレックスだと言うたことは最近堀内から聞いた

だから付き合う事になれば、何らかの妨害が有ることは予想がついた

「成る程ね。では、真剣という事ですか?」

「当たり前です」

実際には松田より2歳程年下なのだが、その態度はいかにも横柄さがある

「では、その辺の事は後からにしましょう。」

「?」


保は徐に松田の前にA 4の封筒を差し出した

「貴方の会社で取り引きのあると思うのですが…………動きが悪いものでね、ちょっと調べたものです」

それは、『川村冷蔵食品会社に関する調査による報告書』とあった


「……………これは」

内容に関して唖然とした

「たぶんイズミfoodに対しては、貴方の見立てが厳しいせいなのか、不正商品などの被害は無いみたいですが、そちらとの企業取り引きを信用した小さな企業が少し彼、川村社長の口車にのっている傾向がありますね。」


「………………」


「早目に手を打っておかないとこの先とんでもないことになりますよ。」


書類に目を通しながら松田は保に「なぜ貴方がこんなことを」と問い掛ける。


「……………あの男も色々欲が出たのでしょう。うちの新しいプロジェクトにも飛び入りで売り込みにきましてね。勿論話を聞いた上で門前払いでしたけど、美月の会社でも取り引きがあると聞いたものですから、少し調べてみようと思ったんです………」

「それにしても、ここまでよく調べあげましたね………」

思わず感心する。

「ほとんど内部告発です。大分ワンマン社長だったらしいですよ、調べるには案外容易いものでした。」


書類をすべて読み終えて、考え込むように溜め息をつく

「早急に対処しますが、これは今後どうするつもりですか?」


松田の問いかけに、保の口角が気持ち上がる

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