その瞳をわたしに向けて
「俺も暫くは残業から抜け出せそうにないからそうした方がいいだろう」


正直そうしてくれたら助かる………これでひとつ心配事がなくなった。


今イズミfoodが川村冷蔵との取り引きを縮小ないし打ち切りにした場合、電話してくるかあの社長のことだから、乗り込んでくるかもしれない。そんな時に美月と鉢合わせになんてしたらと思うと、ぞっとする。


「…………週末の間も?」


松田は優しい目を美月の目線まで降ろし、ふわりと頭を撫でた

「土日には出張が入ってるんだ。後一週間くらいでかたがつくから、そしたらどこか遊びにでも行こうか」


「本当に?」

一瞬にして明るい顔をした美月の耳元まで松田は口を近づけた

「ああ、だからそれまではおあずけだな……………それともここでする?」


「!!」


ビックリして赤くなる美月の顔をみ見てクックッと笑う。

思わずチュッと、軽くそのいとおしい桜色の唇にキスをした

「やっぱり、おあずけなっ」


……………俺が我慢だ


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