その瞳をわたしに向けて



会社では何かのトラブルなのか、剛平を中心にバタバタと会議が続いたと思ったら、外回りでいつの間にかホワイトボードに出先が書いてある。しかも何軒かの会社名が書かれて直帰だって


この前の出張だって、一日早く帰ってくるならメールくらいしてくれればいいのに…………


立花さんも一条さんも山崎主任もなんだか難しい顔して残業続きなのに、私は逆に早く帰るように促される。



兄さんからも食事の電話があって………

「美月、少しの間家に帰ってこい、母さんもオヤジが海外出張で寂しがってるからその間、週末も久しぶりに家族で出掛けよう」


剛平と付き合い始めたばかりなのに…………


「……………考えとく」

美月は、髪のさきを指で遊びながら目線を落とした

「美月、今付き合ってる男がいるんだろ。」


「えっ…………?!」

つい、顔を上げてしまった

保が分かりやすいと溜め息をつく


「どうせ、美月が夢中になってるだけだろ、なにも出来ないお嬢様相手だ、この前会った忙しい奴だったらお前の方が邪魔になるだけだぞ」

目の前でひょうひょうと食事をしながら言う保をムッと睨みつける



この前会ったって、もう剛平の事しってるじゃん………

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