その瞳をわたしに向けて
「立花……」
美月の席の隣で忙しくパソコンを操作する松田と同期で入社6年目の女性の名前が呼ばれた
「ふぅん……立花が作成したなら完璧だな」
そう言う松田に、二人バツが悪そうに目を合わせる
「美月ちゃん、頑張ってたんだけど昨日までに出来そうになかったから……」
首を屈めて、ははっと笑顔で見上げ目を合わせてきた立花に、松田は一瞬目を逸らす
「甘やかし過ぎだ。実際いつまでも新人扱いしてたら成長しない………ったく、フォローじゃなくて完全に立花の方がこいつに使われてるだろ」
………こいつって、そんな言い方
本人目の前にして言う事か、言う事なのか?
「使われてるって………人聞きの悪い事言わないで下さい。終わらないから終わらないって相談しただけじゃないですか。実際立花さんがやった方が早く出来るんですから。」
「馬鹿かお前は……」
呆れた様な顔をして、兎に角今日中にと赤チェックの書類を指差し、外出準備のため自分の席へ戻っていった松田
ホワイトボードに出先の社名と帰社時間を記入した後、もう一度美月の席近くまできて
「これで直したカ所チェックして、チェックした書類も一緒に提出しろ。」