その瞳をわたしに向けて

「価値観の違う相手はお互い疲れるだけだ。ハッキリ言ってやめておけ。」


「………そんなことない」


どうして人の痛いとこばかりつついてくるかなぁ………?

「とにかく、熱くなってるのは美月の方だろ、相手との熱の違いに早く気付くことだな。すぐにただのママゴトだと分かるはずだ」

食事中に喧嘩なんかしたくないのに、つい売り言葉に買い言葉になってしまう


「ママゴトは、兄さんの方でしょ。瑠璃ちゃんとちゃんと婚約してるのに、恋愛すらしていないじゃない。」


「こっちのことはお前に関係ない。岩槻瑠璃子とはお互い利害が一致してとの事なんだから」


「そんなこと言って瑠璃ちゃんが他に好きな人でも出来たらどうするのよ………」

小声で私が言った事に、一瞬ピクンッと眉を上げるが、すぐにいつもの平静な顔に戻り

「何もかも中途半端なお前が人の心配なんか出来るのか?」


「…………」


結局、口では保に勝てるわけもなく、暫く実家から会社に通うことを松田にも伝えた



< 300 / 432 >

この作品をシェア

pagetop