その瞳をわたしに向けて
今日も定時に仕事を終えて会社の前に来るはずの清宮の運転手をロビーで待っていた。
「早すぎたかなぁ…………」
何となくうろうろしていると、「美月ちゃんっ」と呼び止められた。
会社を出た所で川村社長が手を振りながら近づいてきた。
川村社長? やっぱり来てたんだ。でもさっきの社員の人はもうとっくに帰られたのに……………
「やあ、実は美月ちゃんを待ってたんだ、話したい事があってね」
「私に?」
美月が首を傾げると、強引に腕を掴んできた
「お兄さんの事で急いで君に聞いて貰いたくて、近くにいいカフェがあるから私の車で行こう。そこに停めてあるんだ」
ぐいっと強い力で引っ張られ美月はすぐに不安になった
「あっあのっ、私は自宅用の車がありますから、それに寄り道はちょっと………」
そう言う美月の言葉も聞いてない様子で引き連れられるのをなんとか抵抗する
「離して!!」