その瞳をわたしに向けて
「大変だったな………」
常務室に入ると、黒革のソファーに座るように促された
「いえ、大丈夫です。実際には疑われる事も想定内ですから………」
「今回の事は、お前のおかげでうちにはこの先被害はなさそうなんだが………………」
正面に座る常務は、ただ手放しでは良かったと言えないんだと溜め息をついた
「…………」
イズミfood本社側で、なぜかこのタイミングで取り引き先から暫くの縮小を申し出てきたとこがあるらしい
「お前の任意は誤解だし、うちには他と違って報道もされることなく多少あった川村冷蔵との取り引きも無関係で通せるはずなんだが、なぜかここ一週間のお前の動きが本社の一部の取り引き先から話題に出るらしいんだ………」
「どうゆう事ですか?」
一旦視線を逸らした常務が言いにくそうに口を開いた
「…………お前、清宮さんをよく車で送っていくことがあっただろ」