その瞳をわたしに向けて
兄の思い入れ
「携番の横流ししないでくれるかなぁ……」
およそ、昼間のゆるりとしたオープンカフェには似合わない目の前にいる女は、タイトスカートに長い足を組み、カフェの椅子の肘掛けに頬杖をつきながらふて腐れていた。
美月と連絡がつかないなら、堀内から間接的にでも直接美月と繋がりのある彼女に会うしかない
「悪いな、聞きたい事がある」
そう言う松田の前で、溜め息をついた瑠璃子
「美月なら実家に戻ったわ。会社やめたんだからあそこに居る意味がないでしょ。一人暮らしも」
「…………携帯も通じない」
「会社の前で連れ去られそうになったから携帯の電源いれるとGPS機能で居場所をチェックされるって、携帯閉まっちゃったらしいわよ」
…………っんな訳ねぇだろ
「いくらシスコンだからって、ここまでするもんか? もしかして……」
「心配しなくてもちゃんと血の繋がった兄と妹よ。」
「…………だよなぁ」
目鼻立ちは結構似てるからな
「まあ、今回はやり過ぎではあるけどね。何て言うか、彼にとって美月は社長になるための目的っていうか…………」