その瞳をわたしに向けて
「…………ちなみに、そのなりたいものって言うのは?」
瑠璃子の話に少しばかり横やりをいれる
「医者だって」
「……………」
なんか面白くねぇな……………
話は戻って、ある時自分の将来の夢を語りながら友達にそのことを話したら、その友達から美月を紹介してくれと懇願されたらしい。
4歳下の美月はその頃まだ小学3年生。
思春期の中学生が相手にする年齢ではない
当然、その友達になに考えてるんだと詰め寄ると
『光源氏だよ。今の内から紫の上を囲っておけば将来は俺と結婚して清宮の社長だろっ?』
今にして思えば、友達にとっても冗談だったかもしれない
「でも、その時の彼はその友達の言葉でカッとなって、殴っちゃったんだって」
「…………」
頼んだ紅茶を啜りながら肩を屈める瑠璃子
「医者になろうとした人間が人を傷つけたんだから、もうその場でその夢は諦めたんだって」
その方向が美月に向いた訳だ…………