その瞳をわたしに向けて
友達を傷つけて叱られた父に、保は自分が社長になると宣言したらしい


「これから先、美月に群がる男はすべてお金や出世目当てだとでも思ってるんじゃない? 実際松田さんも会社じゃ出世頭なんでしょ」


それこそ大きなお世話だ…………


「……………あいつには大学の時も彼氏がいただろ」


「ああっ、その時はちょうどあの人アメリカにいたのよ。さすがに社長の息子が新入社員じゃ上司も大変だから、アメリカ支店にいたらしいわ」


「…………」


「美月をほっとけないのは彼も私も、貴方も一緒でしょ」

だから仕方無いっていうのか…………?
瑠璃子の言い種にふぅんと鼻を鳴らす


「……………随分向こうの肩もつんだな。やっぱり婚約者だもんな確か」

目を細めて松田がそう言うと、意外にも一瞬顔を赤らめた瑠璃子


「そっそんな事、今関係ないでしょ!」



……………これは堀内に望みなしだな
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