その瞳をわたしに向けて
「私が喋ったって事にした方がつじつまが合うから…………」
そう言った美月に肩を落とす
「ばかだな、折角作った自分の居場所なのに、自分から放り出しやがって」
「会社は…………実際私のいる意味は無いもん。それに、このまま居ればもっと剛平に迷惑がかかるし」
「……………」
松田の背中からそっと手を伸ばし頭を凭れさせて抱きついてきた美月
「……………ごめん、私が何とかするから」
「移動の話、聞いたのか?」
「剛平が入社して築き上げてきた営業の仕事なのに、信用も信頼も人一倍頑張ってやってきたのは会社は分かってるはずだもん」
松田の腰に回った手にキュッと力が籠る
「…………美月、悪いが今日殆ど日中外回りで汗臭いんだ………」
そう言って振り向けば、するりと胸の中に入り込んで離す様子もなく、小さくくぐもった声で「離れたくない………」と頭を埋める
「美月…………」
自然にキスを身体を求め合った
仕事の疲れは半端なかったが、連絡の取れない美月の事が気掛かりだったのもあった
今、こうして腕のなかで彼女を抱きしめると、不安が少しずつ薄らいでいく
それとは逆に疲れが、行為の後に泥のように溶けてどっと押し寄せ、ベッドに沈み込んだ