その瞳をわたしに向けて


ゆっくりと隣にいた人の気配がベッドから離れていくのがわかり、その腕を掴みとった。


「…………剛平、水持ってこようか?」



そう聞こえたが、もう少しで夢の中に引きずり込まれそうな眠けの状態で、俺は美月に言いたかった事を伝えたかった。


「美月…………一緒に暮らそう…………何があっても………一緒に居てくれればいいから……」


俺の声に答える美月の声が遠い

「剛平…………ごめん。私、今何もない。だから…………」


美月の声が段々と聞き取れなくなっていく


「だから………………………………」


「分かった…………」

その時は確かに聞き取った美月の声に答えたはずなのに、覚えてない。



朝目を覚ました時、部屋に美月の姿は無かった。


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