その瞳をわたしに向けて
それぞれの場所
一週間後、俺の移動先が決まった。
企画営業2課 松田剛平
本日付、海外事業部への転属を命ずる
のち、ロサンゼルス支社主任
「よっ、務所帰りがいきなり栄転かよ!」
後ろからバシッと堀内に背中を叩かれ、思わず前屈みになった
「しかも俺の上司だし………奢れ!!」
「……………」
仕方無く会社帰りに久し振りに堀内と飲みに行った。
「清宮ちゃん、その後連絡は?」
「…………いや」
松田はビールを飲みながら首を振った。
「結局、携帯も繋がらない…………」
「ロスに行ったら益々遠くなるな。って言うかなんで別れる事になった訳?」
「さあ………」
そんな腑抜けた松田の答えに堀内が顔を覗き込んだ。
「理沙ちゃん時みたいだな。」
「理沙?」
クックッと堀内が思い出したように笑う
「あの時も突然だったもんなぁ………大阪行っちゃって携帯変えられて、連絡取れないからもういいやって感じで…………」
「…………」
堀内がクィッとビールを飲みながら、はぁっと息をついて、松田をゆっくり見直した。