その瞳をわたしに向けて

バタバタとその場は解散となって

清宮保も今日はこれで失礼しますと、杉村常務に頭を下げた。

その後を杉村常務に追うように言われ、彼を呼び止めた。

「招待していた美月さんの、引き出物をお渡しするように言われたので………」


そう言ってホテルのエレベーターまで送ると「少しいいですか?」と立ち話を始めた。


「杉村さんと先程少し話していたのですが、松田さんは今ロス支店に行かれているとか」

「………?はい」


「そのことを美月は知っているんですか?」

なにが聞きたいんだ?そんな事は分かっているんじゃないのか?

「いえ、会わなくなってから決まったことなので直接は知らせていませんが、先程の杉村夫人との会話で話題にして知っているかもしれませんね。」


そう言うと、予想外の答えだったのか一瞬驚いた表情を見せた



「会っていないんですか?!美月と」


「えっ?ええ……」


保は考えるような仕草で黙りこんだ

再び話始めた時、少し眉を歪ませていた。

「それは、あの川村冷蔵の件がきっかけでと言うことですか?」
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