その瞳をわたしに向けて
「兄さんは剛平のこと何も知らないじゃない…………」


「お前は、世間の中の清宮をまだ分かってない。自分が清宮亜門の娘だと、清宮コンツェルの社長令嬢だと少しは自覚したらどうだ」


美月がまた言い返せずに俯いてくっと下唇を噛む

「出張する男の首に華をつけるような、そんな余裕のない女になるな。」

そう言って頭に置いていた手で小突かれた。

「…………っ!」


そのまま話は終わりだと美月の前を通り過ぎていく保

「私っ…………兄さんのそうゆうとこ嫌い」

いつもいつも顔色変えずに人の痛いとこ、突いてくる。

苦し紛れにそう言って保を追い抜いて扉から出た美月はそのままで玄関に向かう。

「どこへいくんだっ?」

保が後ろから声をかけてきた

「帰るの!兄さんとは話したくないから」


「部屋は引き払ったぞ」

「?!」


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