その瞳をわたしに向けて

電話が通じていたら、メールをしてしまう。

メールをしたら、きっと声が聞きたくなる。

声を聞いたら会いたくなる…………

会ったら多分、もう今度こそ離れたくなくなってしまう。


だから、実技試験を理由に剛平に会えるかも知れない結婚式もキャンセルした。



「会いたいなぁ………」



暫くボォっとしていたら、目の前から睦っちゃんが顔を覗いてきた。

「っ?!」

「みぃちゃん、ここにいるかなって思って」

にこにこしながら睦っちゃんがサンドイッチを差し出した。

「あの眼鏡のイケメンって、みぃちゃんのいい人でしょ」


「……………うん………ありがとう」

サンドイッチを受け取って、その場を離れて学校に戻った。

「勉強、頑張ろうね。みぃちゃんが一生懸命なの、何となく分かったような気がする。」



睦っちゃんは、それ以上何も聞いてこなかった。

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