その瞳をわたしに向けて
「美月ちゃん…………」

肩を落とす美月


無理だよ

剛平の隣にはもう誰かがいる

その子が剛平に見つめられて、キスして

そして……………


「ううっ…………やだよぉ………」


涙が拭っても拭いきれないで、止めどなく溢れてくる



「美月ちゃん………美月ちゃんのお兄さんって、こうなった時の事をいってたのね」

「えっ…………?」

メイクも涙ですっかりくちゃくちゃになっている美月が顔を上げる
ゆっくり頭を撫でる美鈴ママ


「剛平君の事諦めるにしても、今は美月ちゃんにはメイクのお仕事があるじゃない。ずっと頑張ってきてちゃんと自分を持ってるでしょ」


そう言って両手で美月の頬にある涙をママが拭き取った。


「………………」

< 350 / 432 >

この作品をシェア

pagetop