その瞳をわたしに向けて

「社長、イズミfoods の松田様をお連れしました。」

案内してきた男性は秘書らしく、ノックしてそう声を掛け、その重厚な扉が開かれた



「やあ、初めましてだね。美月の父です。」


いきなりワープして、ラスボスかよ…………

正直、緊張でグッと喉が詰まった。右手に何とか力を入れて気を落ち着かせた

「松田剛平です。初めまして。美月さんにはお世話になってます。」


「ははっ、お世話になっているのは美月のほうだよ。まあ、座って」


見た感じはフレンドリーだ…………

少し緊張がほぐれ、応接のソファーに座った。

「…………失礼します」

しかし、予想外のため言葉が出てこない。

この状態で美月との交際の話を切り出すか、それとも連れてこられた訳だから、相手の出方を待つか……………


「あの………」

「君が保に会いに来ると聞いたものだから、先にこちらに通す様に頼んでおいたんだよ。私はずっと君に会いたかったからね。」
< 399 / 432 >

この作品をシェア

pagetop