その瞳をわたしに向けて

そう言ってピンクの蛍光ペンを放り投げてきた。

「わっ」

放り投げてきたペンを辛うじてキャッチすると、松田はすぐに出ていった。


提出って………本当に赤点の答案用紙扱いか?


その様子に隣の立花も、クスクスと肩を揺らす。




美月の仕事といえば、頼まれた資料の作成、会議の準備やお客へのお茶だしやその他の雑用

もう一人、週3日来るアルバイトの40代主婦の田中さんと、この部署では女性は3人あとは20人ほどの男性

その中で立花は、総合職の女性営業マンとして仕事をしている傍ら、美月の指導役


「大丈夫、大丈夫、出来なかった分は私がやっておくから。どうせ松田くんも今日は遅くなると思うし、美月ちゃん今日は用事が有るっていってたもんね。」

そう言ってにっこりと笑顔を見せる


でもその笑顔………私はあまりすきじゃない



立花春香(たちばなはるか)

背が高くスラッとした立花は、髪はショートカットに服装は地味なパンツスーツに薄化粧と兼ねてから女性っぽさがたりないと思ってた。

美月は一般職の事務仕事のため会社の制服着用だが、
立花は営業で外回りがあるためスーツ着用で、そのスーツの色がグレイや紺と、花がない。
せめて高いヒールくらい履いたらいいのに


28歳にもなってほとんどナチュラルメイク……って言うか、アイメイク無しなんてあり得ない。

それでも、優しく棘のない性格で、仕事も出来て愛想も良くて………聞くところによると料理上手らしい。


その、人を安心させるような人柄で、中身が完璧なところ……微妙にカンに障る。

絶対にどこが腹黒い部分があるはず………





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