その瞳をわたしに向けて
そう言って、向かい側のソファーに腰をおろした。

「保に会いに来ると言うことは、娘とはもう仲直りしたということかな?」


「………っ!」

一瞬、息を飲んだがここで怯むわけにはいかない。

「………はい。一時は離れていましたが、今またお付き合いさせていただいてます。」

小さく頭を下げる

やはり、避けて通れそうにないな…………

「前に娘と付き合い始めた時は、保が少し意地悪をしたみたいで、君に嫌な思いをさせてしまったね、申し訳ない。」

「えっ………」


「実は、君のことは泉くんからよくきいててね。」

泉くん…………?

松田が徐に首を傾げると

「ああ、君の会社の社長だよ。泉 直孝社長。私の学友でね、彼にいろいろ君のことを聞いてたんだよ。」


「社長…………ですか?」


「川村冷蔵の事で移動すると聞いて、どうせならロス支店への勤務を口添えしたんだ。君の技量をみて見たかった」

イズミの社長………って、今でこそ本社勤務になって見掛けることもあるだろうが、

個人的にはほとんどは話したことはない。
< 400 / 432 >

この作品をシェア

pagetop