その瞳をわたしに向けて
ずっと言葉を発せず、黙っていた話の中心人物が口を開いて

一瞬、二人の声が止まる

「まず、私の軽はずみなロスでの行動で、ご迷惑を掛けた事、申し訳ありません。
ですが、その事は美月…………さんと誤解はといて、無事にまた付き合いをさせていただいてます。」

松田の淡々とした話が気に入らないのか、保の眉が歪む

「先ほどの、転職の話ですが、申し訳ありません、お断りさせて頂きます。
ロス支店への口添えをしてくださった事は感謝してますが、イズミfoods での仕事は自分なりにこれからもやり遂げていきたいと思っています。」


「……………」


「えっ~」

小さく声を上げる社長に目を向ける保

「美月さんとも、できればそっとしていてほしいのですが……………
前も一緒にいたのは短い間でしたし、今また付き合い始めたばかりですから、先の事はまだ分かりません。」

「先の事は分からないとは、いい加減じゃないか?」

腕を組み、眉を上げ吐き出すように言われたが


「お互いの生活や仕事のこと、いろいろ尊重しあっていかなくてはいけませんから」


応接ソファーの横で立っている保に、真っ直ぐと答える

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