その瞳をわたしに向けて
「私は………いままで貴社を築いてきた社長や、それを支えてきた貴方のような、人を使う側の人間ではありません。
現場で動かされながら模索していきたい人間です。それを今まで通りイズミfoods 側から貴社にも貢献出来れば幸いです。なんといっても清宮コンツェルは当社の最大の取引き企業ですから」
そう言って深く頭を下げた
「……………」
「………正直おしいね。泉くんからも君がどうしてもウチに行きたいと願うなら仕方ないが、そうでなければ手離したくはないと言われていたからね。」
諦めたように、肩を落として頭を掻く社長
「保の言う事は気にしないでほしい。これはまだ君からしたら、修行が足りないな。
美月の兄だが、君より年下だ。知識ばかり、頭でっかち過ぎて困っているよ。」
「なっ?!」
急に上司としてというか父親としての発言に、一瞬カッとなる保を横目に社長が松田を真っ直ぐと見据える
「別の条件での話なら受けてくれるかな」
「別の?」
松田が首を傾げる
「今、保のいる外食部も手掛ける再開発に、出向という形で他の企業からプロジェクトに参加させる予定でね。
それをイズミfoods として君が参加してくれないか?
実は君の会社にも話は通してあるんだが…………」