その瞳をわたしに向けて

確かにそれは同感だった

取り敢えず5年、この状態のままでいる契約をした。

勿論、その間に好きな人が出来ればそこで契約解消。恋愛だって自由

そんな、ふざけた契約に私はのった

でも…………あいつが私を選んだ本当の理由は、美月の親友だったから

その人形のような澄んだ瞳、綺麗な顔立ちで、気は強いが頼りなく無防備な性格の美少女

同じ顔立ちを持つ彼は、妹を溺愛するシスターコンプレックスだった

パーティーがあれば、美月の周りに男が近寄らないように防御し、
父親が根回しした、見合い目的だろう食事会には、勝手にキャンセルを入れる始末

呆れるが、分かる気もした。

私も美月は好きだった。思わず護りたくなる気持ちは、彼との唯一の共通点だった


そんな時だった、彼の弱点を知ったのは

美月と同じお酒に極度に弱いこと


「女のクセにそんなに飲むなよ。酔っ払ったらそのまま捨ててくぞ」

グラスワインの2杯目を飲み干した私をみて、眉間に皺を寄せた

「こんなんで酔っ払うはずないでしょ。」


美月に向ける、厳しくも愛情の溢れる瞳とは明らかにちがう目で指摘してくる
< 421 / 432 >

この作品をシェア

pagetop