その瞳をわたしに向けて
「松田さんだって聞いたじゃないですか、杉村常務のこと………」


「…………まあな」


「杉村常務ってかこいいですよね。優しいし、落ち着いた大人だし……ハイレベルですよね」

「ハイレベルねぇ……」

「今までだってきっと、スッゴくモテたと思うのに独身で………なのになんで立花さんなんだろうって思いません?」


………ってこれまた怒られるかな


恐る恐る松田を見上げると、溜め息混じりに視線を向けられた


「お前が立花の事、初めからよく思おうとしないから分からないんじゃないのか?」

「………」


私が……?今まで、気を使ってきたのは立花さんの方だと思うんだけど………

松田の大きな手が黙り込んだ美月の頭をぐしゃぐしゃと掻き回した


「わっ痛い、もう………」

「お前から何でも聞けばいいだろ、これだけズケズケ人に物言うくせに、なんで立花には気を使ってビビってんだ?」


「ビビってなんかっ!………ただそう言う事本人に直接聞くのが苦手なだけです」


松田の手を払い除け見上げた


「ははっ……お前でも苦手なことがあるんだな」

そう言ってアイス片手に笑うから………なんか気が抜ける


「って言うか、松田さん質問答えてないですよ。立花さんのどこが好きなんですか?」


「はぁっ?何、訳分かんねぇ………」

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