その瞳をわたしに向けて
なんか……こうして松田さんと向かい合ってご飯食べて、お酒飲んでるって不思議………


「松田さんって………モテますよね。」


身長の高さは座っていても姿勢がいいから目立つし、顔だってやっぱり整っているから、ほら………カウンターに座ってる女性客にチェックされてる。


「んっ?」

ライム酎ハイを両手でもって、グラスを揺らしながら何となく聞いてみた。

「彼女、作らないんですか?」

一応いるかいないかは、気にならなくてもこの目立つ男の噂は入ってくる

「総務の吉川さんとか、経理の山田さんとか………受付の綺麗所とか、結構誘われてるんですよね、付き合ったりしないんですか?」

「………別に、興味ない」

ちょっと不機嫌になってる……

「興味ないって………まさか、松田さんって実はそっち系?」


なんて、違うか立花さんオンリーだもんねぇあなたは……



「……お前なぁ、人の事言えんのか?」

「はっ?」

白身魚のフライに箸をつけながら松田の方に顔を上げる


「研修で同期の男、全員から携番聞かれてたって、それを見事に撃沈させた魔性の新人だって聞いたぞ」


「何ですかそれ………聞いてきたの全員じゃないですから」

こちらもぷぅっと口を膨らます



ライム酎ハイを半分くらい飲んだところで松田が顔を覗き込んできた

「赤いぞ、大丈夫か?」
< 56 / 432 >

この作品をシェア

pagetop