その瞳をわたしに向けて
「はぁっ………」
三杯目のライム酎ハイをまたちびちびと飲み始めて一息ついた
「キスねぇ………で、立花はその後どうしたんだ?」
「知らない。部署のデスク見てみてもいなかったから、杉村常務も…………」
「ああ、でっお前あそこで落ち込んでたのか」
コクンと頭を下げた美月を見て、頬杖をついたまま小さく息を吐いた
「お前も大概振り回されてるな………」
「喧嘩してますよね、きっと…………」
俯く美月の頭を松田の大きな手が撫でる
「気にするなって、そんな事で別れるくらいならとっくに別れてたからあの二人は。それよりお前の方が被害者だろ。」
被害者…………?立花さんからみたら私なんか絶対悪者でしょう。
「同情しないでください、どうせ自業自得ですから…………」
口を尖らせふて腐れながらつくねを頬張る
「同情はするが、なんで自業自得なんだ?」
「………………だって、コネ入社で役立たずでしょ、空気読めないし、浮いてるって言ってたじゃないですか………」
「………言ったか?」
「言いました。嫌いでしょ松田さんだって私の事」
自虐的な事ばかり並べてふて腐れながら頬杖をついて酎ハイを飲む美月
「だったら好かれる様にすればいいだろ、空気だって読んだらいいし、
大体俺が嫌ってるんじゃなくてお前が俺を嫌ってるんだろ?」
「松田さんいつも怒るじゃないですかぁ」
「怒ってるんじゃない、仕事のミスを指摘してるだけだ。それに清宮だって俺を睨み付けてくるだろ」
「睨んでなんかないもん……」
一旦深呼吸した松田が息を吐きながら、小さく頭を下げた
「分かった、分かった、俺もこれから気を付ける。だから清宮もちゃんとコミュニケーションを取れ」
そうはっきり美月に言ったが、当の本人は少し頭がふらふらしていた
「コミュニケーションの取り方が分かんないから、こんなになっちゃってるんじゃないですかぁ~~」
「…………お前酔ってるだろ、完全に」