その瞳をわたしに向けて



22時半を回った頃、支払いを済ませ帰ろう振り返ると、当然後ろにいると思っていた美月の姿が見当たらない。

トイレか?辺りを捜す



「こっちで飲んでるから、ここに入っててね」

大学生風の二人組に、手を引かれ連れていかれる美月を、店内の隅で見つけた

わっ!!バカ、あいつ


急いで美月の手を掴んで引き寄せた

「おいっ!こいつは俺の連れだ」


「あっ松田さんいたぁ~」


ノーテンキにフラフラして見上げる美月

はぐれてたのかよ………ったく


睨み付けると、二人組はすぐに美月から手を放した

「この子がフラフラしてたから、声かけたらあっさりついてきたし………なぁ」

「悪いな、酔ってるからこいつ、ほらっ行くぞ」


そのまま手を引いて連れていくと、美月は二人の男らの方を向いて手を振った。

「バイバーイ」

「!!」

「俺たち良くここにいるから、また会ったら飲もうねぇ~」

美月に向かって男たちが嬉しそうに声をかける。

その声にもう一度振り向いて威嚇を込めて睨み付け、ビビる二人組の男。


男連れの女に声かけるとは、チャレンジャーじゃねぇか……

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